尿のトラブル
尿のトラブル
泌尿器科は、腎臓・尿管・膀胱・尿道といった尿の生成や排尿に関係する臓器、前立腺・精嚢・陰茎・精巣といった男性器に関係する臓器など、尿路とその周辺の臓器を対象とする診療科です。
そのため以下の3つの疾患が多くを占めます。
いずれも『尿のトラブル』として皆様が自覚されるものとなります。
こんな痛みや症状でお困りではないですか?
日常的に起こりやすい症状でも、詳細な検査を行うことで重大な疾患の早期発見につながることもよくあります。
心配なことがあれば悩まずに、何でもお気軽にご相談ください。
前立腺は男性のみ有する臓器であり、前立腺疾患のなかで最も頻度の高いものです。前立腺が肥大して様々な排尿障害が生じてきます。前立腺は直腸と恥骨の間にあり、尿道を取り囲んでいます。そのため前立腺が肥大すると、尿道を圧迫して排尿に関わる症状が現れます。一般的な成人男性の前立腺は、クルミぐらいの大きさと例えられますが、肥大するとみかんや卵ぐらいの大きさになります。
症状としては、夜中に何度もトイレのために起きたり、排尿までに時間がかかったり、尿の勢いが弱くなります。さらに進行すると尿が全く出なくなることもあります。以前は前立腺が大きくなることによってこうした症状が出現すると考えられてきましたが、近年では生活習慣病と前立腺肥大症の相関が報告されています。診断には国際的評価方法(IPSS)、前立腺の触診、超音波検査やMRI検査などの画像検査、残尿や尿流量測定があります。治療は薬物療法が主となりますが、前立腺肥大の程度や症状応じて手術療法が適応となる場合もあります。
女性に多く、頻尿、血尿、排尿時痛が特徴的な病気です。その多くは排尿の最後のほうや排尿後にしみるような不快な痛みを感じます。悪化してくると残尿感がひどく、何度もトイレに行くようになり、はっきりとした痛みを伴うこともあります。さらに悪化すると、排尿時の焼け付くような痛み、血尿が現れることもあります。膀胱炎は何らかの原因で細菌が膀胱へ侵入することによって起こります。通常は抗菌薬治療によって数日で完治することがほとんどですが、難治性の場合や耐性菌が問題となることもあり、放っておくと高熱や腰痛を伴う腎盂腎炎に進展してしまうこともありますので、膀胱炎の疑いのある症状が出た場合、早めの受診をお勧めします。
40歳以上では10人に1人以上が罹患しているとされている疾患です。膀胱が蓄尿に対して過敏になり、突然尿意を自覚したり、頻尿や夜間頻尿、尿漏れなどの症状を伴うことがあります。症状の問診や過活動膀胱症状質問票(OABSS)を用いて診断します。治療としては薬物療法が中心になりますが、生活の改善や訓練なども重要になります。これらの治療が無効な場合、ボツリヌス療法が適応となる場合もございます。
お困りの方は非常に多い疾患ですが、昔からの症状だから、もう高齢だから仕方ない、尿漏れで受診するのが恥ずかしいなどの理由で受診をためらわれている方が非常に多い状況です。少しでも気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
蓄尿や排尿に関わる神経の様々な疾患により、膀胱の機能が低下する疾患です。脳血管障害や認知症、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、糖尿病や直腸がん・子宮がんの術後合併症などが主な原因となります。症状や既往歴の問診、残尿や尿流量測定などから診断しますが、はっきりした原因が分からないこともあります。治療としては薬物療法が中心となりますが、膀胱機能が著しく低下している場合は、尿道カテーテル管理や自己導尿が必要となる場合もあります。
尿路(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に結石ができる疾患で、結石のある部位によってそれぞれ腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分けられます。泌尿器科で頻度の高い疾患の一つです。
血尿、腰部の激痛、発熱、吐気・嘔吐などの症状を伴うこともあります。尿検査、画像検査(超音波検査・レントゲン検査・CT検査など)で診断がついたら、まず痛みを抑えます。その後、結石の大きさや位置を確認し、治療方針を検討します。小さい結石であれば、薬剤を使い自然に体外へと結石が出ることを待つ保存療法が基本になります。大きな結石や、自然排石が難しいと考えられる場合には手術が適応となる場合もあります。
急性前立腺炎の多くは大腸菌などの細菌が尿道から侵入し、前立腺に感染することで起こります。症状としては、発熱、排尿困難、排尿時痛、残尿感、頻尿などがあります。悪化した場合、敗血症などに進展する危険性があるため早期治療が重要です。
慢性前立腺炎は長時間座ったままの姿勢を取り続ける人、働き盛りの20~40代に多いのが特徴です。会陰部の不快感、排尿時の違和感などの症状が現れます。治療は症状によって異なりますが、改善するまでに長期間を要することもあります。
尿失禁は40歳以上の女性では4割の方が経験しているといわれており、トラブルを抱えて悩んでいる方も少なくありません。尿失禁は自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう症状で、「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」「溢流性尿失禁」「機能性尿失禁」に分類されています。
腹圧性尿失禁は女性の尿失禁の中で最も多く、咳やくしゃみ、笑ったときや重い荷物を持ったときなど、お腹に力がかかったときに尿が漏れてしまう症状です。骨盤底の筋肉の緩みが原因で、妊娠や出産、加齢などを契機に発症します。
切迫性尿失禁は、突然尿意を自覚し、我慢できずに漏れてしまうという症状です。排尿コントロールがうまくいかず、トイレに駆け込む事態が生じ、外出や乗り物の移動中に困ることがあります。
このほか、尿を排出したいのに出せず、少しずつ漏れてしまう溢流性尿失禁や、認知症や運動機能の低下が原因で起こる機能性尿失禁があります。
尿失禁は、状態や症状に応じて治療と対策方法があります。受診が恥ずかしいからと我慢したり、高齢だからと諦めたりせず、お気軽にご相談ください。